阪神のアレが話題になっていて
ついつい道頓堀の警備に
意識が向いていた今年の
ペナントレースでしたが、
パ・リーグは気付けば
オリックスの三連覇では
ないですか。
仰木監督やイチローの
いた頃を思わせる…?
いつもBクラスをウロウロしていた
イメージで、
2020年も最下位だったはずなのに、
2021年からの快進撃。
3年連続リーグ優勝、
昨年は日本一。
当然ながら、選手が総入れ替えされた
わけじゃない、
変わったのは、監督。
中島聡監督、54歳。
1986 年に、ドラフト3位で
阪急(現オリックス)に入団し、
そこでリーグ優勝、日本一も経験。
捕手として強肩を誇り、
9人の監督のもとで
選手生活を送っている。
西武、横浜、日本ハムと渡り歩き、
46歳まで現役を貫き、
1軍実働年数は工藤公康氏とともに
プロ野球最長の29年を誇る。
引退後は大リーグのパドレスで
コーチやスカウティングについて
学び、
帰国後にオリックス2軍監督、
監督代行を経て就任。
その采配は「伴走者型」と評され、
寄り添って支えるスタイルと
言われている。
従来のスポーツ指導者には
あまり多くないタイプでもあり、
仰木監督や栗山監督など
優れた指導者のもとにいたことも
そのやり方を生み出した理由に
挙げられている。
1軍と2軍の垣根が低く、
選手の状態を常によく把握し、
調子のよい選手は積極的に起用。
監督室にあるホワイトボードは
2枚、
1枚は年間スケジュール、
もう1枚は1軍2軍にいる
選手たちについて
ひと目でわかるように
なっている…らしい。
スタメンのバリエーションは
広く、
全試合を違うメンバーでも組める。
調子がいいと
すぐに使ってもらえるので
選手のモチベーションが高い。
2軍に行くのはダメなのではなく、
調整のため。
シーズンの中盤になっても
レギュラーを固定せず
様々な起用、可能性を探す大胆さ。
今いる選手たちのポテンシャルを
いかに引き出せばよいか。
捕手出身から、
捕手の分業体制を作り、
運用の見事さでは12球団一とも。
先発ローテーションは
適材適所、自由自在、
リリーフは徹底管理、
しかし、ここぞというときには
思い切って投げさせる。
選手たちへの声かけも、
厳しさと優しさの加減が
絶妙と言われている。
中継ぎ投手には
打たれたら「何しとんねん」
抑えたら「調子乗るなよ」
2軍に行く選手に
「疲れてるやろ」
しっかり調整して戻ってこい。
WBCのメンバーに選ばれても
「今のままじゃ使い物にならない」と
厳しく声をかける。
かと思えば、
好プレーには誰よりも喜んで
ベンチは盛り上がる。
昨年のソフトバンクとの
首位攻防戦では
固くなりがちな選手たちに、
「勝負の責任は全部俺が取る。
みんなに背負うものはない。
思い切っていけ!」
そして、
「勝って終わりたいな!
優勝のことは考えずに、
この試合を勝って喜ぼう。
笑おう。
全員で行くぞ、全員で勝つぞ!」
と、盛り上げる。
監督就任時に語ったのは
「あまり僕に期待しないほうが
いいと思います。
期待するのは選手にしてほしいなと。
僕は、たいしたことないんで。」
監督通算200勝の時も
「価値のあるものなのか、
よくわかんないっすけど、
スタッフのおかげだと思っていますし、
別に僕は関係ないと
思うんですけどね。」
監督として心がけていることは?と
聞かれて答えたのは、
「自分はあまり、監督という役職に関して
感じるものがない。
責任取るのはもちろん監督ですので、
それは自分がやればいいんですけど。
選手との距離感というか、
特別な存在ではありたくないな、と
思っていました。」
選手にはよく声をかけるが、
いった方も言われた方も
内容は特に覚えていないことが
圧倒的に多い。
声をかけること、
選手たちを気にかけているということ、
そのものが大切。
ただ、その中に、
選手にとって忘れ得ないものも
いくつもある。
バッテリーミーティングで
「しっかり腕を振って勝負してこい。
それで打たれたらこっちの責任だから。」
これは、もしかしたら
現役時代に投手に自らが
かけていた言葉かもしれない。
捕手という立場は
重要だけれど、地味だ。
投手は褒められても、
捕手のおかげとみなされることは
現場の人間以外、あまりない。
逆に投手にいい成績が出ないと
組まされなくなる。
自分が責任を取るから、
思い切り投げろ。
ずっとそうやってきたのかも
しれない。
2軍に行く投手に
「お前の持ち味はなんだ?」
と、その言葉で
自分の得意ではなく、別の技を
磨こうとして調子を落としたことに
気付かせる。
すべての試合が終わったとき、
「来年、リーグ制覇できるのは
俺たちしかいないだろ。」
選手の成長は本当に
嬉しいようで、
「頑張っているので使いたくなるし、
戦力になり
結果を残すのは
本当に選手の頑張り」
と、記者たちの前で笑顔で語る。
ただ伴走するだけではなく、
選手が競技に打ち込めているかを
管理するマネジメント力と
ビジョンを示して
やる気にさせる
リーダーシップも併せ持つ。
ナカジマジック、と呼ばれる
采配のその威力は
オリックスの実績が
すべて物語る。
残念ながら日本一にはなれなかったものの、最終戦までもつれ込んだところにその強さは証明されたといえるだろう。
来シーズンも目が離せないナカジマジックである。
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