日々の社会科:乾いてる耳垢、湿ってる耳垢

日々の社会科

竹の棒で耳の穴をかっぽじって
取れた耳カスをふっと飛ばす…。

時代劇の長屋で、浪人が
そんなことをしている風景、
あぁあったかも。

「あれ、意味判らなかったんだけど」

というヒト、
実はいらっしゃるのでは
ないでしょうか。

あるいは、インバウンドの方々は、
各地のお土産屋で
耳かきを見て、
何に使うんだ?と疑問に
思っている方は多いはず。

竹や金属の先をちょこっと
曲げた形の耳かき、
あれは、日本における
多数派の暴力なのかも
しれません。

乾いた耳垢、乾性耳垢は
日本では約85 %ほどと
言われています。

ただ、地域差があり、
北海道や沖縄では 
湿った耳垢、湿性耳垢、
(ネコミミと呼ばれたりもします)
そのタイプが50%近くにのぼるとも。

湿性耳垢の方にとっては、
その辺の棒では取れず、
綿棒が必要なのですね。

耳鼻科医によると、
基本的に耳掃除というものは
必要ない。

耳には自浄作用があるので
やるとしても入口から
1cm程度まで、
下手にやると、出ようとした耳垢を
奥に詰め込んでしまうことも
少なくない、とのこと。

ただこれも、乾性には
当てはまるけれど。

湿性の方は
毎日拭わないと耳の中が
ベタベタして大変、と。

アジア系は乾性が多数派ですが、
ヨーロッパ、アフリカでは
逆転して9割近くが湿性です。

遺伝としては湿性が
優勢のため、
そちらが出やすいはずですが、
もともと乾性が多いので
割合が変わることは少なそう。

基本的には掃除しなくても
いいよ!と言いながらも、
耳垢が原因で、聴覚に異常を
きたしている場合もあります。

普通耳が聞こえなくなりました!と
いえば、
突発性難聴のおそれが
あるのですが、
時折耳垢を詰まらせて
いる患者さんもいるとのこと。

耳垢が溜まっていたところに
水や汗が入り込み、
外耳道を塞いでしまう
事態になります。

そらみろ、だからこそ
耳掃除必要でしょ。

ではなく、
耳垢が柔らかかったり、
もともと外耳道が狭い人に
発症しやすいので、
個人差があるのです。

高齢の方や子どもも
なりやすいので、
様子がおかしかったら
耳鼻科を受診すると
あっさり解決するかもしれません。

また、市販されているような
道具は
耳鼻科では使われていず、
ピンセット形のものか
吸引するものを、
プロは使っています。

そして、大切なのは
ライトで照らして
きちんと中を見ること。

どうしてもがっつり
耳掃除をしたい方は、
ライトできちんと照らし、
挟んで掴むか吸い取るものがよい、

そして、それは
自分ではできません、
信頼できる誰かに
お願いしましょう。

膝枕してもらいたいからと
いうだけの理由での
耳掃除依頼は
危険が伴うこともあるようです。

耳掃除中に子どもや犬猫に
飛びかかられて
大怪我になり、
手術となった事例もあるそうで。

もっとも耳鼻科医同士でも
耳掃除お互いにすることはない、と
断言している方もいて。

なかなかに、
悩ましい耳掃除。

ただし、異変を感じたら
やはり耳鼻科に駆け込みましょう。

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