焼肉好きですよー。
ツウはギアラにハチノス!
なんてほざいている輩に、
ギアラってなんだっけ。
と聞いてみて下さい。
きちんと答えられる人は
あまりいませんね。
獣医系の人が第四胃、と
答えられるくらいでしょうか。
まあ食べるのに知らなくてもいいし。
4つも胃があるから
楽しめて良いな。
とはいえ、4つも持たねば
ならないのは、何故なのか。
胃が複数あるのは、
「人間には分解できないものを
消化するため」と
説明されますが、
その分解できないもの、とは
イネ科の植物たち。
つまり、複数胃は、
「イネ科植物との攻防の末」
持ち得たのです。
草原にいる植物に
イネ科があります。
植物としては、ただ食べられたくは
ないのです。
そこで、イネ科たちは
葉にケイ素(ガラスの原料にもなる)を
蓄え、
繊維質を多くしました。
これだけでも充分食べられにくいですが、
さらに成長点の場所を変えました。
伸びるところ、ですね。
フツーは葉先ですが、
そこだと食べられてしまうので
株元なのです。
そこから葉を増やし、下から
伸びていく。
そして、葉のタンパク質も減らして
栄養価も低くする。
と、食べられない工夫をします。
しかし、イネ科を食べないと
食べる物がない、とウシたちも
頑張ります。
そのイネ科をなんとか
消化吸収するために
胃を4つも持ち、何度も反芻して
生きていく糧にする。
で、そんなにたくさんの
臓器を持つために
身体は必然的に大きくなるわけです。
1番目の胃は、ミノ。
容積はなんと200㍑、浴槽くらい
あります。
ここには胃の内容物1㌘あたり
100億の微生物が生きていて
脂肪酸に変えてもらって
栄養とするのです。
第ニ胃が、ハチノス。
凸凹の形が印象的ですが、
ここでも微生物が消化吸収の
お手伝い。
一胃とニ胃の間を行ったり来たり、
口に戻してもぐもぐ噛んで
じっくり分解してもらいます。
第三胃が、センマイ。
たくさんのひだがあり、
本で押し花を作るように
食物の水分やミネラルを
吸収。
第四胃が、ギアラ。
ここでようやくヒトの胃と
同じような役割をします。
胃酸で消化します。
ここでは、これまであんなに
働いてくれた微生物を
「殺菌」します。
つまり、微生物もウシの栄養に
なってもらうのです。
「牛飼いは虫飼い」と
言われるほど、微生物は大事。
と、ウシをはじめとする
草食動物たちは、イネ科を
なんとか栄養としているのですが、
あれ。
イネって、コメでしょ?
ですが、わたしたちはイネの葉は
食べませんね。
固くて美味しくないからです。
イネにコムギ、トウモロコシ、
みんなイネ科ですが、
葉ではなく実、というか種子を頂きます。
野生のものは種子を
バラまくのですが、
ヒトは種子を落とさない
突然変異を見つけて
それを増やして栽培することに
成功したのです。
それこそが、農業の始まり。
文明の始まりです。
栽培できる植物を見つけたから、
人類は歩み始めた、と
見ることもできるのです。
エジプト、メソポタミア文明は
ムギが、
インダス文明にはコメが、
中国ではダイズが、
マヤやアステカにはトウモロコシが、
インカにはジャガイモが。
食べられたくない植物たちと、
なんとしてでも食べたい動物たちの
命をかけた工夫が、
世界を彩ってきたのです。
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