アルプスの少女ハイジの友、ユキちゃん。
あらしのよるに、のメイ、
オオカミと七匹の小ヤギに
三匹のやぎのがらがらどん、
そしてなんといっても
「やぎさんゆうびん」
絵本や歌を通して、
幼い頃からヤギという生き物には
親しみを持つ方も多いかと
思われます。
とはいえ、
実際ヤギが常に身近にいたかと
いえば、そうではなく、
画像のものや
ふれあい動物園ばかりだったかも。
ヤギという動物は
どんなふうにヒトに
寄り添ってきたのか、
役に立ってくれてきたのか、
振り返ってみましょう。
ヤギは紀元前7000年程前、
つまり今より約9000年前から
家畜としてヒトの側にいたと
考えられています。
群れを作り、乾燥地を好み、
様々な用途があるヤギは
遊牧にも定住にも向くことから
広く飼育されてきました。
ヤギの利用法は
多岐に渡りますが、
まずは乳。
日本には鎌倉時代に
やってきたと思われますが、
広まったのは明治になってから。
戦中、戦後は貴重なタンパク源であり、
広く飼われて国民の健康に
寄与していたのです。
牛よりも飼育しやすく、
母乳が出ない場合にも
使われてきました。
山羊乳は牛乳による
消化不良を起こすカゼインが
含まれず、細菌も少なく、
成分が母乳により近いことが
わかっています。
脂肪球が小さいため、
クリームやバターには向いていませんが
チーズやヨーグルトには
広く使われていて、
山羊乳チーズの「シェーブル」は
高級チーズ。
乳だけではなく、肉も頂きます。
羊同様、宗教上の規制を受けないため
中東、アジア、アフリカ、中南米では
広く食べられていて、
日本でも沖縄や奄美では名物料理ですね。
毛皮や皮も使われ、
皮はとりわけ遊牧民にとっては
衣類や食糧保存袋などとして
大切に使われ、
アンゴラやカシミア、パシュミナといった
高級毛織物は
そういった種類のヤギのもの。
水分の少ない糞も
堆肥づくりに向いていて
ヤギ糞利用の堆肥は
美味しい果物づくりに
人気だとのこと。
また、昨今人気なのは
ヤギの除草隊。
傾斜地でも平気で
休耕地や林地、樹園、
敷地に手が回らない家や
老人ホームからも
需要があります。
森林管理や山火事予防になり、
下草をヤギが食べることで
除草効果や糞の肥料効果にも
すぐれ、
環境にも優しいことから
注目されています。
もちろん、伴侶動物としての
人気も高いのです。
人懐こくて、小柄、
飼料もそれほど
高いものでなくていい。
太平洋戦争のさなか、
男たちは駆り出され、
残された女性や子どもたちの
命を支えたのは、
ヤギでした。
アフリカで内戦や独立戦争、
民族対立が激しかったころ、
残された女性や子どもたちの
命を支えたのも、
ヤギでした。
昭和30年代をピークに
ヤギの飼育頭数は減り、
いまは2万頭あまりとなっていますが、
最古の家畜のひとつとして
側にいてくれたヤギ、
これからも、あの遠くを見ているような
瞳で、さりげなく、
人を支えてくれるのでしょう。
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