「友情結婚」という言葉を
耳にしたことがあるでしょうか。
見た目には、いわゆる普通の
法的にも何も問題のない
男女間の結婚です。
友情結婚、と聞くと
友達だと思っていたのにいつの間にか…など
異性の友人との間の
友情が恋愛になった的な
印象を持つかもしれません。
違います。
友情結婚という形式には
恋愛感情は基本必要ありません。
お互いの利害が一致し、
関係はあくまでも
プラトニックである、
というのが友情結婚の定義。
昨今「友情結婚」専門の
結婚相談所は増えています。
利用者に多いのは
いわゆる性的マイノリティーの方々。
恋愛対象は同性だったり、
あるいは恋愛感情そのものを
持たなかったり。
わざわざ好きでもない異性と
結婚したりなんかしないで、
カミングアウトして
堂々と好きな同性と暮らせば
いいじゃない。
と、思ってしまうのは
他人事だからで、
実際にそれができるのは
まだまだごく一部に限られています。
本当は左利きや、
AB 型の人と同じくらい
存在しているはずなのに、
自分のまわりにはほとんどいない、と
感じるとしたら、
それは、彼らが口をつぐんでいるから。
社会的に生きていくために、
友情結婚をしたい。
親を安心させたい。
子どもを持ちたい。
世間に認められるパートナーシップを
築きたい。
ずっとひとりで生きていきたくない。
理由は様々です。
友情結婚の場合は、
自分や相手の事情を理解し、
どういった生活を望むのか、
出会いの際に
話し合うことが求められます。
お互いが恋愛対象でない場合、
恋人を作ってよいのか。
そのことを相手に伝えるのか。
子どもを持つのか(体外受精など)、
友情結婚であることを
どこまで打ち明けていいのか、
完全なる秘密にするのか。
家事や育児の分担や
経済的な割合はどうするのか。
相手の家族との付き合いは。
利害が一致する、といっても
偽装婚ではなく、
相手を生活をともにする
パートナーとして
生涯をともにする覚悟が必要です。
恋愛感情はないとしても、
これまで言えなかった
自分の嗜好を受け入れ、
理解してくれる相手と
結婚できるのは大きな安心も
手に入れられるようです。
好きだから、という理由だけで
結婚してしまい、
あとからこんな人とは思わなかった、
というリスクは低いのです。
とはいえ、
人間ですから
こんなはずじゃなかったと
いうことは、やはり起こり得ます。
恋愛でない分、
お互いを理解し、気遣う必要が
より高いとも言えます。
結婚する時に決めたルールを
守ってくれなかった、と
いうこともあり得ます。
結婚という側面からすると、
友情結婚でなくとも、
大切なことは
さほど変わらないかもしれません。
相手も自分も大事にすること。
ただ、本当は本当に好きな相手と
堂々と結ばれるのが
理想なのかも。
友情結婚という言葉が
生まれ、相談所があるのは
そのままの自分では生きていけない、と
いう社会の生きづらさが
あるのでしょう。
利用者に多いのは
有名企業に勤めていたり
エリートと言われる職種の人が
多いとのこと。
自由業やクリエイターの方は
ほとんどいらっしゃいませんね、と
ある相談所の経営者は
言っています。
安心と安定と自由を
すべて手にするのは
難しいのでしょうか。
友情結婚については
賛否両論ですが、
それが自分らしく
生きていける道であるなら
お祝いしたい。
お幸せに。
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