トヨタの片づけより「いつか使うは諸悪の根源」

日々の社会科

この内容はご存じの方も多いであろう、

「トヨタの片付け」をまとめたものです。

   

研修にて。

文房具をパンパンに詰め込んだ

筆箱を渡し、

「この中から赤ペンを取り出してください」

と告げる。

パンパンの筆箱にはボールペン赤ペン

ホチキスなどいくつも入っていて、

赤ペンもインク切れのものがある。

たった一本の赤ペンを手元の

筆箱から出すのに、数十秒かかる。

次に、それぞれがひとつずつ

入った筆箱を渡し、

同じ指令を出す。

中には使えないものなどは

入っていない。

十秒もかからない。

たったこれだけを体感させることで、

整理整頓をすると

圧倒的に時間や体力、精神的にも

どれほどの利益を生むのか

理解してもらえるという。

片付けの柱は「5S」

整理、整頓、清掃、清潔、しつけ。

整理整頓と、あとの3つに

分けられる。

大切なのは、整理整頓。

企業コンサルで、

この2つを徹底するだけで

相当の効果が出るという。

無駄がなくなり、効率が上がり、

利益が上がる。

生産性がアップするのだ。

片付けができていないほど

利益がでていないことが多い。

片付けは雑務ではなく、

仕事そのものである。

まず、整理とは

「いるものといらないものに分け、いらないものは捨てる」

そして整頓とは

「必要なものを必要な時に必要なだけ取り出せるようにする」

ただ、これだけのこと。

しかし、これには明確な判断基準が必要となる。

何が必要なのか、

いつ必要なのか、

どのくらい必要なのか。

いま使うもの、

いつか使うもの

いつまでも使わないもの。

いつか、も期限を決めること。

いつか使うは諸悪の根源である。

そして、整理整頓とは

何かということ、

なぜするのかということ、

その結果どうなりたいかと

いうことをしっかり意識することが大切である。

モノを使うのは人間。

ただ見た目を整えたり

レイアウトを考えたりするのではなく、

人間への洞察が重要となる。

動線がわからないと配置も出来ない。

また、まずいものは隠したくなると

いう心理も理解しておくこと。

例えば、誤発注の品が倉庫の奥底に置いていないか。

失敗をこっそり隠しておく風土があるということがわかる。

モノの放置があるかないかで

会社や社員のレベルがわかるものだ。

置き場所が決まっていないものが

たくさんあるということは

従業員のしつけが行き届かず、

作業効率が悪く、

品質や安全性にも問題があるということ。

ここで、人を責めずに仕組みを見直せばよい。

発注ミスがあるなら、

どうすればなくなるかをきちんと考えていく。

陰にモノを放置しないようにするには、

モノを置く場所が人目につけばよい。

いらないものを溜め込まない。

誰が見てもモノの位置がわかるように明示する。

そして、モノの置き場はひとの動きで決める。

動作経済」といい、

生産性を高めるために人の動きを研究して、

より負担が少なく効率が上がるようにする考えである。

例を挙げれば、

コピーを取るのに、コピー機とコピー用紙とゴミ箱の位置関係が

使いやすいようになっているか、とか

現場の作業にしゃがんだり振り向いたりする動きが

少ないようにするとか、である。

モノの置き場は「三定」、定位置、定品、定量。

これが守られていればわかりやすい。

しかし、整理整頓が出来上がっても、

それを維持管理出来なければ効果は上がらない。

新しいものが増えたり、置き場や置き方が悪くて

乱れていくことも多々ある。

維持管理のためのものが残り3つのS、

清掃、清潔、しつけ、である。

整理整頓を維持するのは

大切な仕事の一部であり、清掃は業務である。

道具を見える化し、

習慣化するまではしっかりと時間を取る。

また、掃除をしなくてすむような

仕組みを考えていくのも大切。

ただキレイにするのが目的にならないように。

清掃、清潔が徹底されていると、異常に気づきやすくなり、

問題に早期に対処できる。

まわりがやってくれない、と嘆きたくなるときは、

「しつけ」ができていないこと。

根気強くやる、目的意識をしっかり持つ、

やったことを評価する。

そもそも仕組みが悪くて続けられないのではないか、

動線に 問題はないか、改善点を探し続ける。

トヨタのコンサルの目を通すと、

人気があるのに潰れる飲食店は、

客や厨房、従業員の動線が悪くて回転率が下がり、

利益が上がらないことが多いという。

5Sは、単に経営側が利益を上げるために

従業員に強制するものではない。

整理、整頓、清掃、清潔、しつけ。

これはみなが負担なく働きやすくなり、

無駄がなくなり、利益も上がる、

そして会社の規模に関わらず、個人であっても使える、

生活をより良くするためのツールなのである。

小さいところから、 始めてみよう。

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