「ボストン美術館所蔵/THE HEROES刀剣×浮世絵-武者たちの物語」という素敵な展覧会が、六本木ヒルズ森タワー52階の森アーツセンターギャラリーにやってきました!
日本美術を多く所蔵するボストン美術館から,厳選された刀剣に浮世絵の武者絵(物語や伝説に出てくるヒーローを描いたもの)、刀剣の鍔(つば)が展示されています。
浮世絵というと風景画や美人画が展示されることが多いですが、今回は武者絵100%、それに合わせた刀剣や刀の鍔の展示という新しい試み、楽しみです。
わたしもヒーローだ!どんな刀があるか興味深いな。
*全点写真撮影可能、ブログ掲載も了解頂けます。
ボストン美術館2022/刀剣×浮世絵とはどんな展覧会?
西洋美術においては、ギリシャ神話や聖書の物語がよくモチーフとなっています。
日本美術においても、神話や数々の伝説が浮世絵に描かれたり、その時々の人々の憧れの対象となります。
今回はその中でも武者たちに焦点を当て、もとの伝説の説明、伝説をもとにした浮世絵の展示、さらにその伝説を刀の鍔に表現したものが展示されています。
物語のヒーローたちの活躍やそれがどう後世の人々に愛されてきたかがわかる、魅力的な展示となっています。
展覧会の概要
展示は時代順に並んでいます。
武者絵は118点、すべてが日本初出展。
絵師も菱川師宣、歌川国貞、歌川国芳、月岡芳年などの有名絵師ばかり。
そして、武者絵と同じモチーフの刀の鍔も同時に展示されています。
江戸時代の人の教養ともいえるこのモチーフの数々を実際にに見ることができます。
それぞれの伝説もそういうことだったのか!と納得できる親切な案内もあるので、知らなくても安心して楽しめます。
さらに、ボストン美術館所蔵の約600口の中から刀剣20口も出展されています。
これは圧巻、見逃せません。
音声ガイドを担当するのは、ミュージカル刀剣乱舞で活躍の黒羽麻璃央さんと、人気声優の小西克幸さんです。
ステキなお二人のガイドでさらに楽しめます。
私の活躍がアニメ化されたら声優さんを黒羽くんにやってもらいたいね。
ボストン美術館とは?
アメリカ東海岸にあるマサチューセッツ州ボストンにあります。
1876年開館、50万点以上の収蔵作品を誇り、とりわけ浮世絵をはじめとする日本美術、中国美術のコレクションは世界の垂涎ものとなっています。
ボストンは貿易港としてアジア諸国と関連が深かったことから、アジア地域の美術品の収集をしていました。
何人もの人々が、日本美術コレクションに貢献しています。
大森貝塚の発見者でもあり、縄文土器の名付け親でもあるエドワード・モース、彼の日本陶磁器コレクションもボストン美術館に寄贈されています。
近代の日本美術の価値を認めて研究・収集したアーネスト・フェノロサ、幅広く日本美術を収集した医師、ピゲロー。
そして日本人としては、岡倉天心に富田幸次郎。
様々な人々の手を経て、日本の美術の価値は見出され、ボストン美術館に収蔵されています。
異国の地でも私の活躍が知られているのだな。
ボストン美術館2022/刀剣×浮世絵の展示内容
浮世絵のヒーローたちが現れる!
浮世絵に現れるイカした勇者たちと、その仲間たちのストーリーが明かされます。
時代別になっていますし、時代ごとに色別されていますので、意識しなくてもわかるようになっています。
神話から源平合戦まで
まずはスサノオノミコト。ヤマタノオロチ伝説の活躍が多く描かれています。
そして、雄略天皇。勇敢でもあり、暴君でもあったと様々な逸話が残っています。
人気があったのが、源頼光と彼に従う四天王、おとぎ話の金太郎こと坂田金時も、この四天王の一人です。
源頼光といえば、土蜘蛛退治に酒吞童子退治。
二つのエピソードは多くの浮世絵に描かれ、刀の鍔にもなっています。
そしてなんといっても、源平合戦です。
源義経の鵯越に一ノ谷の合戦、平敦盛の悲劇に屋島の扇の的、八艘飛びの壇ノ浦の戦い、その後の安宅関に静御前の舞。
木曾義仲の愛妾であった巴御前についても描かれています。
私のことがわかったかな。他にもみな活躍しているな。
鎌倉時代から戦国時代まで
鎌倉時代は、現在大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも放送されている人々が描かれています。
怪しい僧、文覚上人の物語に曾我兄弟の仇討の物語。
主役の北条義時はあまりいいイメージを持たれていないようです。
そして、戦国時代の人気者は川中島合戦の武田信玄と上杉謙信。
武士と武士との誇り高い姿が人気だったのでしょうか。
強さが魅力の宮本武蔵も、いくつも作品が残されています。
物語の中のヒーローとしては、里見八犬伝も見受けられます。
美しい刀剣と鍔たち
浮世絵とともに美しい刀剣も展示されています。
目を奪われるのは、展示の最終コーナーを飾る数々の刀剣たち。
これほどの一級品の刀剣をまとめて展示されると、くらくらするような美しさ。
様々な刀剣を一度に見られると、基礎知識がなくても刀剣というものが非常に多彩なものであるということに気付かされます。
刀身の反り方に刃の付け方、研ぎ具合、長短に太い細い、すべてにおいてこんなに違いがあったのか、と驚かされます。
そして、鎌倉時代や室町時代といった数百年を経た刀がいまでも生きているような輝きを放っていることにも感動するのです。
刀はもののふの命だ。
ボストン美術館2022/刀剣×浮世絵はどこでやっている?
六本木ヒルズ森タワー52階の森アーツセンターギャラリーで開催中です。
会期は2022年1月21日から3月25日まで。(会期中無休)
六本木ヒルズは東京メトロ日比谷線&都営地下鉄大江戸線の六本木駅、東京メトロ南北線&都営地下鉄大江戸線の麻布十番駅、東京メトロ千代田線の乃木坂駅と利用できる駅が多く、便利な場所にあります。
美術館のスタッフの方々のおもてなしも温かく親切で、落ち着いて鑑賞できるのが嬉しいですね。
そして、展覧会場を出ると、東京の街並みが一望できます。
武者絵と刀剣に囲まれた空間からタイムスリップしたような感覚、まさにこの場所だからこそ味わえるものでしょう。
ボストン美術館2022/刀剣×浮世絵のチケットはどこで買える?
事前予約制となっています。
展覧会公式サイトから入手できます。
一般2100円、大学生・専門学校生/1500円/高校生・小中学生1000円です。
混雑も回避され、ゆっくり鑑賞できるのもいいですね。
もし急に見たい!となっても、当日券も用意されているので諦めないでください。
ミュージアムショップも充実しています。
連れて帰っておくれ。
ボストン美術館2022/刀剣×浮世絵の感想まとめ
仮に、ボストン美術館を訪れて、日本美術の数々にお目にかかったとしても、それが何を表しているのか、当時の人々はどう感じていたのか、わかっていれば、楽しさ倍増。
今回の展覧会は丁寧に選び抜いた美術品とともに、それらが語るストーリーも知ることができます。
風景画や美人画、役者絵を多く目にする浮世絵の中でも独特の立ち位置を持つ武者絵。
その武者絵の物語を知り、どのシーンなのか、誰が描かれているのか、なぜ描かれているのか、それはどう受け止められたのか。
知っているといないとでは、見る目が違ってきます。
こんな素敵な展覧会を催してくださっていることに感謝します。
待っておるぞ。
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