クリスチャン・ディオール展/東京都現代美術館の口コミ・感想です!

博物館美術館行ってきました

行ける方は必見です、ディオールというクチュリエをこれだけ間近に歴史を通してわかりやすく知ることができる展示は、もうないかもしれません。

そんなファッションに興味はないし、と思われる方にも足をお運びください、とお伝えしたいです。

というのは、美しいものを見て、囲まれる空間に身を置くことは、精神的にも有意義だと思われるからです。

さて、パリからやってきてロンドン・ニューヨークを経て東京にやってきてくれたのは、

「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」です、行ってまいりました!

華やかなオートクチュールのドレスの数々に目もくらみそうですが、

何よりそこを展示する空間が素晴らしい!!

ぜひとも行ける方は行ってほしい、と思いますが、場所や時間的に行けない方の方が多くいらっしゃるかと思います。

このブログではまず、展覧会の概要と行ったうえでこうすればよかったなどの点をお伝えします。

実際に行かれる方は、そこまでで続きはご覧にならずに、展覧会に行かれるのもよろしいかと。

次々と展開される驚きの空間については、予備知識なしに楽しんでくださることをお勧めするからです。

その後で行くのは難しい、という方々のために内容をざっくりお伝えします。

もちろんある程度内容をお伝えしても、どれもほんの一部ではありますが、少しでも受け取った感動をおすそ分けできると嬉しいです。

入口からかっこいい
ユニコーン
ユニコーン

なんかすごい世界が待っていそう♫

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クリスチャン・ディオール展の概要と注意点

クリスチャン・ディオール展は、東京都江東区にある東京都現代美術館にて、2022年12月21日より2023年5月28日まで開かれています。

現代美術館は1995年開館、1945年以降の現代美術のために作られました。

様々な形態の現代美術に対応できるように展示スペースも広く、また木場公園に隣接する緑豊かな素敵な環境下にあります。

今回のクリスチャン・ディオール展も現代美術館ならではの展示スペースを最大限に生かした展示となっています。

現在日時指定券を取っての入館となり、過剰に混雑することもなく、心ゆくまでディオールの世界を楽しめる状況になっています。

好評につき日時指定券は、近い日程では取りづらくなっておりますので、早めの予約をお勧めします。

その際閉館は18時ですので、余裕を持った時間の予約をお忘れのないようになさってください。

ボリュームのある素晴らしい展示の数々のため、2時間は時間を確保すると良いと思います。

というのは、16時半に予約が取れたので入りましたが、ミュージアムショップも含めて

1時間半しかなく、足りなかったからです!

展示は、1階と地下2階の二つのフロアにまたがっていて、どちらも同じくらいのボリュームがあります。

時間とエネルギーの配分にご注意ください。

17時まで予約の枠はありましたが、どうしてもそこしか行けないとか、もう一度見たい箇所があり、1時間で何とかなるなどの状況でなければ、いくらなんでも1時間ではもったいないと思います。

入館料も2000円かかりますし。(もちろんそれだけの値打ちのある展示です。)

これから始まる展示にワクワクです。

最寄り駅は東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線の清澄白河駅。

他にも都営バスも利用できますが、最寄駅からも10分ほど歩きますので、それほど便利な場所にあるわけではありません。

美術館にラウンジとレストランもありますが、そこを使う以外では、公園で何かを買ってきて食べるか、駅から美術館に行くまでにいくつか飲食店がありますので、予め食事を取っていくもしくは店を見つけておくのが良いかもしれません。

また、ロッカーは美術館の建物に入ってすぐのところにあります。

見落としがちなうえ、数が少ないので空いていたらすかさず利用しましょう、無料です。

(100円玉が返ってくるシステムのもの)

ロッカーこんな感じです。入るとさりげなく右手にあるのでお見逃しなく。
ユニコーン
ユニコーン

時間に余裕をもって、荷物も少なくして、前後に食事をしたい場合はそれも考えた方がいいんだねー。

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クリスチャン・ディオールって誰?

ではまず、クリスチャン・ディオール氏とは何者で、どんな人生を送った方だったのでしょうか。

1905年、20世紀の初めにフランスは北西部のノルマンディー地方、グランヴィルという町に生まれました。

5人兄弟の2番目として生まれ、両親は肥料会社を経営していて大成功、裕福な幼少期を送ります。

ピンクとグレー外壁の優雅な家に、自然豊かな手入れされた庭があり、美しい自然を謳歌することができました。

世紀末の優雅なベル・エポックの内装であり、1900年のパリ万博で両親はジャポニスム、オリエンタリズムに魅了され、北斎・広重をはじめとした各国の美術品にも囲まれていたそうです。

豊かな子ども時代でしたが、14歳の時不思議な占い師に出会います。

占い師はディオールの手相を見て

「あなたは無一文になるが、女性たちがあなたを大成功させてくれる。」と語ります。

その時裕福だったディオールには不可解な内容だったのでしょうが、そのことは忘れられず、そしてそれは現実となるのです。

ディオールの美意識のかけらを知ることができるもの

ディオール一家はそのあとパリに居を移します。

父親に外交官になるように期待されてパリの政治学院に入学するディオールでしたが、彼は芸術に惹かれます。

ピカソにサンローラン、サティなどのあふれる才能の持ち主たちとも交流を深め、

ディオールは環境によって培われた優雅なブルジョワ的感覚と、最先端の流行を併せ持つ、

彼ならではの美的センスを磨きあげていくのです。

しかし20代になり、母と弟をなくし、大恐慌で父は破産、自身は結核を患って療養しなくてはならないという逆境が彼を襲います。

療養が終わり、パリに戻った彼は芸術活動に向けていた眼をファッションに移します。

オートクチュールの現場で働き始め、共に働いていたピエール・バルマンと自分のメゾンを持つことを期待されますが、バルマンが独立して成功するのを見ても、ディオールはなかなか動こうとはしませんでした。

ちなみにオートクチュールとは、顧客個人のサイズに合わせて作られるもので、パリのクチュール協会に認めらえれたものだけが名乗ることができます。よく聞くプレタポルテは、量産されたものです。

そんなディオールの前に現れたのは、テキスタイル界の大物で資産家のマルセル・ブサック。

彼はまだ無名のディオールの才能を見抜き、巨額の支援をしてディオールを独立させました。

1946年パリ、モンテーニュ30番地にディオールのメゾンが開かれます。

ファッション界では驚きと羨望と妬みと疑惑の視線がディオールに向けられますが、彼は最初のコレクションを大成功に導きます。

「私のドレスは女性をプリンセスに変える」

これはディオールの言葉で、彼は女性の身体の線のなめらかさ、女性の持つ可愛らしさ、柔らかさ、華やかさをより美しく表現するドレスを作りました。

ウエストが絞られ、華やかに広がった長いスカートは「ニュールック」と呼ばれ、上流階級の女性たちから絶大な支持を受けました。

ただ、戦後の荒れた時代であったため、ニュールックを着た若い女性が主婦にドレスを引き裂かれる事件が起きたり、脚線美をもてはやすアメリカでは否定されたり、女性をコルセットから解放したシャネルが激怒したり(ディオールの初期のドレスはメイドがいないと着られないような構造のものだった)いろいろと社会的にも注目されました。

ディオール自身はシャネルに尊敬とあこがれを持っていたといわれますが、シャネルはディオールのデザインが許せなかったともいわれています。

ニュールックで注目されたディオールでしたが、一年ごとに発表するコレクションでは毎回コンセプトが見事に変わり、人々はますますディオールから目が離せなくなっていくのです。

ウエスト絞り、ふんわりスカートのニュールック

1955年にはフランスのオートクチュールの50%以上を占め、ディオールは10万着の服を作り、16万着をデザインしたといわれていますが、メゾンをを立ち上げてわずか11年目に53歳で急死します。

心臓発作とされています。

ユニコーン
ユニコーン

すごい人だったのね。でもそんなに若く急に亡くなっちゃったら、そのあとどうなるの。

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クリスチャン・ディオールの歴史・跡を継ぐもの

ディオールはまさに最盛期に創業者を亡くすというピンチに襲われますが、優秀な後継者のおかげで、ブランドは続いていくことになります。

これからは展示の案内とともにディオールの歴史の案内にも重なります。

ニュールックと日本

ディオールが最初に発表したコレクションは「ニュールック」と称され、花に見立てた女性のシルエットを美しく強調するものでした。

また、パリ万博でのジャポニスムに魅せられた両親の影響もあり、ディオールは日本の文化を愛し、北斎や桜のモチーフを取り入れたり、龍村織物に素材を注文したりしました。

アジアで最初にオートクチュールが持ち込まれたのも日本でした。

まさに北斎ドレス
非常に繊細に作りこまれたドレスの桜(キウリデザイン)

ディオールは1953年に鐘紡・大丸とも提供して当時の皇太子妃美智子さまのウエディングドレスも作成しています。

ユニコーン
ユニコーン

ウエストしまってふんわりドレスってディオールが作り出したデザインだったのね。

イブ・サンローラン

ディオールは、11年ほどしか活躍できませんでしたが、後進をきちんと育てていました。

とりわけイブ・サンローランとマルク・ポワンには重要な仕事を徐々に任せていたといいます。

とはいえ、21歳でこのメゾンの跡を継ぐことになるとは、サンローランも思いもよらなかったことでしょう。

その重圧の中、サンローランはやりとげ、コレクションは大好評をえます。

しかし、わずか3年後にサンローランは徴兵されてディオールを去ることになるのです。

それは、パトロンであるブサックの策略ともいわれています。

ブサックとサンローランはそりが合わなかったとのこと。

サンローランはディオールを去りますが、そののち自分のメゾンを立ち上げて成功することは、みなさまご存じの通り。

ユニコーン
ユニコーン

21歳で跡を継ぐってすごすぎるー!!

マルク・ポワン

サンローランが去った後にディオールを率いたのは、ディオールのもうひとりの後継者、

マルク・ポワンでした。

彼は30年に渡ってディオールがトップブランドであり続けるために力を尽くし、

パトロンであるブサックとも良好な関係を持ち続けました。

マルク・ポワンの時代は「狂乱の時代」とも呼ばれ、若々しくて生き生きしています。

ハリウッドスターからモナコ公国の王妃となったグレース・ケリーの服を仕立ててから、その娘カロリーヌのお気に入りにもなり、まさにセレブのブランドでした。

マルク・ポワンの優美なシルエットの数々

しかし、長年続くとどうしても新しさに欠けていくことは否めません。

ディオールの評判が徐々に芳しくなくなっていくころ、ブサックの破産という出来事が起こります。

ディオールブランドが生き残れるかどうかの大ピンチに襲われます。

ですが、救いの神が現れます。

2022年、テスラを抜いて世界一の富豪の尊称を手に入れた、ベルナール・アルノーです。

かれはLVHMグループを持つ(ルイヴィトン、ヘネシー、モエ、免税のDFSなど)資産家であり、

世界中に知名度を持つディオールもその傘下に入ることになります。

そして、新生ディオールが誕生することになるのです。

ユニコーン
ユニコーン

モードは常に変わり続けなくてはならないのね。ディオールが助けられてよかった。

ジャンフランコ・フェレ

新生ディオールを率いることになったのは、イタリア人のジャンフランコ・フェレ。

初めはフランスのトップブランドをイタリア人に委ねることに不安の声も聞かれましたが、フェレは見事にフランスとイタリアの美を融合させたのです。

芸術的なフェレのドレス

フェレのデザインは、改めて職人の技術の重要性を認識させました。

彼はフランク・ロイド・ライトらの建築が好きで、セザンヌやピカソなどの画家も好み、ファッションと建築、美術を近づけたとも言えます。

ユニコーン
ユニコーン

わあ、すごい、斬新はドレスー。でもどれもとっても素敵。

ジョン・ガリアーノ

1996年にディオールのトップに就いたのは、「恐るべき子ども」の異名を持つイギリス人、ジョン・ガリアーノ。

イギリス人であるけれど、出身はイギリス領のジブラルタルで、パンクやシュールレアリスムの要素たっぷりの彼の採用は、文字通りの「衝撃的なこと」でした。

悲劇の王妃エリザベートをテーマとしたコレクションやチャップリンの放浪者に由来するものなど、まさに観客を彼の世界に飲み込むような迫力のあるものでした。

自由かつ大胆なガリアーノデザイン
ユニコーン
ユニコーン

すごいー。舞台衣装みたいだったりかっこよかったり、幅が広いかも!

ラフ・シモンズ

2012年からディオールのディレクターを務めたのは、ラフ・シモンズ。

ガリアーノとは対極にあるようなミニマリズムの巨匠といわれながらも、ディオールを羽ばたかせたニュールックのロマンチシズムを大切にした、とされています。

印象派の画家たちを意識したともいわれ、写真ではどうしてもわかりにくくなってしまいますが、キラキラ素材も多用し、近づくとその美しさが際立つものをいくつも作っています。

シックであるようで華もある、ラフ・シモンズデザイン

シンプルみたいだけれど実はゴージャスでキラキラしてておしゃれだったりするー。

マリア・グラツィア・キウリ

2017年からはマリア・グラツィア・キウリがディレクターに就任しています。

ディオール初の女性トップディレクターです。

キウリデザインはモノトーンでシックな雰囲気でありながら、強烈なメッセージを含んだものです。

スローガンをプリントしたものであったり、男女ともフェミニストでなくちゃ、とかインドやウクライナの芸術家とも共作したりして、ディオールファッションを地球規模に広げているイメージがあります。

ファッションは性別や国籍をも越えていく、というところでしょうか。

ユニコーン
ユニコーン

キウリデザインには広がりを感じるね。私もレインボーカラーよ。

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素晴らしき展示空間

この美術展は、空間の作りこみが非常に素晴らしく、展示空間は夢の中を漂っているようです。

ディオールのアトリエ

華やかなクチュールの展示の後の、白一色が強烈です。

本物の高級品は、そのデザインが何よりも美しいということがはっきりとわかります。

ディオールの言葉です。

「私のドレスは女性の身体の美しさを引き出すための儚い(はかない)建築なのです。」

本物の高級品には本物の素材と本物の職人技が欠かせません。

伝統的技術と革新的技術が欠かせず、一着の服のために1000時間を超える時間が必要な場合も少なくないとのこと。

顧客の身体に合わせるクチュールとは、そのようなものであるのでしょう。

立体の美、ですね。
ユニコーン
ユニコーン

こんな空間初めて。なんて素敵なんでしょう!

高木由利子さんの写真

会場を飾り、絵葉書として売られているのは日本人女性、高木由利子さんの写真の数々。

ファッションの仕事に携わっていたからこそのディオールのドレスの美しさを引き出している写真です。

ドレス単体ではなく、ディオールのドレスを着た人間の美しさを表しています。

ディオールの言葉を再現しているかのようです。

「美しいドレスを完成させるには、そのドレスが実際にどのように動くかを想像し、デザインに取り入れる必要があります。」

写真とは自分とは違う視点を見せてくれるものなのかもしれません。
ユニコーン
ユニコーン

見てるドレスと着てるドレスって違うのね。

コロラマ

ディオールは色の魔術師でもあったのでしょう。

「女性の全身をディオールで飾る」ことを目的に、衣服だけではなく、バッグに靴、香水、すべてをディオールで作り上げることができるようになっていきました。

ディオールが愛した色は、

中間色としてもっともエレガントであるグレー、

幸福と女性の象徴であるピンク、

生命の色である赤、でした。

これらを基幹としつつも美しい色合いの優雅な「ディオール」が作られていったのです。

右に向かうと寒色が出てきます。
ユニコーン
ユニコーン

どの色も素敵すぎてうっとりしちゃう。

ミスディオールの庭

ディオールは子ども時代、母と庭づくりに熱中しました。

美しい花やそこにいる昆虫たちも、彼の世界の住人でした。

長じてからも庭園でコレクションデザインを描き、彼の後を継いだデザイナーたちの中にも同じように自然を愛するものたちがいました。

手入れされた庭園を歩かせてもらっているような贅沢な空間です。

ミスディオールは妹のカトリーヌにちなんだともいわれています。

清楚で可憐、そしてとんでもなく手がかかっていることがわかる美しいドレス

見れば見るほど、どれだけ緻密に作られているかわかるドレスたちなのです。

ユニコーン
ユニコーン

夢のような空間が次々と現れてくらくらしちゃうーー。

ラブコールのスター

きらめく星の下に広がるドレスたちは、実際に様々なスターたちのために作られ、彼女たちの美しさをさらに美しくするためのもの。

日本人女性としては、中谷美紀さんと水原希子さんのドレスがありました。

リタ・ヘイワース、グレース・ケリー、マリリン・モンロー、エリザベス・テイラー、シャーリーズ・セロン…。

ハリウッドでも人気を博します。

ここの出口には香水瓶コーナーがあり、本当に香りがします。

まさにきらめく展示

キラキラしていて綺麗、でもシンプルで着られそうだね!

圧巻の展示

クリスチャン・ディオール展には驚かされることばかりですが、ここが一番の衝撃かもしれません。

1階から見下ろす形でも、地下2階から見上げる形でも見ることができます。

背景は青になり黒になり、月が上り、星がきらめき、流れていきます。

その中でドレスも花となり星となりその姿を際立たせていくのです。

この前で何時間でも過ごせそうです。

そして、下の空間は色鮮やかでデザインも様々なバッグたちに囲まれます。

中世の貴族の館の秘密のワインセラーに入れてもらったような、ワクワク感があります。

ひとつひとつのバッグがこれまたすごいのです。

そして、これからのディオールを指し示すような、グローバルな広がりを感じさせる空間に招待されるのです。

すべてのひとをディオールでかざれたなら、なのかな。
ユニコーン
ユニコーン

もうほんとに素晴らしい異空間の数々だったー。

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クリスチャン・ディオール展の感想まとめ

クチュール、という一握りの豊かで美しい人々のためのファッションをここまで身近にみられることは、この先もうないかもしれません。

人間の身体は美しいのだ、と教えてくれたディオール展でした。

  • クリスチャン・ディオール展は東京都現代美術館にて2023年5月28日まで
  • 日時指定券が必要で、閉館は18時なので17時入場はお勧めできません、時間に注意。
  • ロッカーは美術館入口すぐにあります、数が少なめなので注意してください。
  • とにかく空間が素晴らしいです、少しでもこのブログがお役に立てれば嬉しいです。
  • ご自分もおしゃれしていくと楽しいかもしれません。
ユニコーン
ユニコーン

ディオールさんと、後を継いでくれた方々に感謝ですね。

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