日々の社会科:晩夏の蝉について思うこと

日々の社会科

気温はまだまだ高いままなのに、
気づくと朝晩には
秋の虫の声。

虫たちは自分たちの季節を
知っている。

クマゼミアブラゼミ
ミンミンゼミ
合唱を響かせていたことが、
すでに懐かしい。

立秋を過ぎて
夕刻にヒグラシが鳴き始めると
残暑なんだよね、多分。
と感じるし、

ツクツクボウシ
不思議な声が、
彼らの季節が終わることを
教えてくれる。

こんなに暑いと地面から
出られないかも、と
言われていたので
出てこられなかったものも
いるのだろう。

宵の口、
羽化を見て喜ぶ子どもたちも
出てくる。

しばらく前に話題になっていたのが、
羽化のために出てきた
セミの幼虫を次々捕って
瓶に詰め、
大喜びしていた中国人の女性。

自分で動画にあげていたので
広まっていた。

「日本にはこんなにセミがいるの、
信じられない、嬉しい!」

何が嬉しいのか。

中国の江蘇省や山東省では
セミの幼虫は、
大変人気が高い。

炒めて食べるのである。

栄養価が高く、
「唐僧肉」
つまり、西遊記で妖怪たちが
食べたいと狙っていた
三蔵法師の肉になぞらえて呼ばれ、
セミの養殖業者は
年収も高いという。

日本でも高タンパク質として
昆虫食は行われているので
同じようなものだということは
わかる。

ただ、他の国に来て
やることはないだろう、
と反感を買い、
それは香港でも報道されていた。

埼玉県の公園では数年前、
「セミの幼虫を捕まえて
食べないでください。」と
看板が英語と中国語で
表示されたとのこと。

アメリカで周期的に
数兆匹レベルで大量発生する
13年蝉や17年蝉を見たら
彼らは大喜びなのだろうか。

そちらはむしろ行ってあげたら
喜ばれるのかも?

蝉は世界に1300以上もの
種類がいるとのことだけれど、
種類ごとの声を
聞き分けられるのは
日本人だけと言われている。

それが当然だと
思っているので、
何だか不思議。

蝉の声がない夏なんて、
夏じゃない。

それぞれが思い思いに合唱し、
短い命に儚さを感じ、
聞こえなくなると
ひとつの季節が終わることを
教えてくれる。

蝉から季節のバトンを
受け継いだ秋の虫たちの声も
心地よい。

古代から歌に詠まれてきたことを
思うと、
どれほど前から
彼らの詩が側にあったのだろう。

この楽しみを、もっと多くの人が
知ればよいのに。

捕るとか食べるとか売るとか、
それだけではなくて。

虫とともに過ごす楽しみを
この国は教えてあげずに、
ひとりじめし過ぎて
きたのかもしれない…。

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