世界で一番有名なウサギ、といえば…ミッフィー?アリスで走っていくウサギ?それともピーターラビット!
ビアトリクス・ポター作のこの絵本が刊行されてから今年で120年。
それを記念して、東京都世田谷区にある世田谷美術館で展覧会が開催されています。
早速行ってきましたので、その様子をお伝えします。
ピーターラビット、絵がステキ。
ピーターラビット120周年展覧会は何が展示されている?
砧公園内にある世田谷美術館。
まだ開催されてそれほどたっていないせいか、空いています。
会場内は写真撮影禁止ですが、フォトスポットが数か所あります。
ピーターのお母さんと姉妹のフロプシー、モプシー、カトンテールです。
会場はまず、ピーター誕生までの物語のコーナー。
ピアトリクス・ポター(ハリーだとポッターです、どちらもPotterさん)は裕福な家に生まれ、当時の他の家の子女もそうだったように、学校には通わず、家庭教師について学びました。
弟とともにいろいろな動物を部屋で飼い、とりわけかわいがったのがうさぎのベンジャミン・バウンサー、ベンジャミンが亡くなってからの2代目、ピーター・パイパー(これは英語の早口言葉からの命名)です。
ポターの家族は彼女が16歳の頃から湖水地方に別荘を持つようになり、ポターはその美しい風景をこよなく愛するようになります。
ポターはベンジャミンやピーターを題材に多くのスケッチを始めます。
親族に送っていたスケッチ入りのグリーティングカードを商品化するようにすすめられ、出版社から発売して詩集の挿絵としても使われます。
ピーターラビットが誕生したのは、元家庭教師の5歳の息子ノエルが病気の時に、元気づけるために送ってあげた絵手紙があったから。
その貴重な絵手紙も展示されていて、とてもかわいいです。
これを出版するように勧められ、6社の出版社にかけあいますが、すべて却下されます。
そこで自費で250部出版したところ、大ヒットで、かのコナン・ドイル(シャーロック・ホームズの作者)も購入したとか。
そこからウォーン社と関わりを持つようになり、色を付けた絵にして出版されます。
大きさは子供が持てるようにと、小さいサイズ。
絵本はたちまち大ヒットとなり、翻訳版も次々出されます。
ピーターラビットの世界が再現されていますが、展示は近くで見たい小さい絵本やスケッチが主です。
目の前まで近づいて見ることはできますが、遠くから見てわかるものではありません。
混んでいたり、並んでいると時間はかかりそうですし、内容的にも大人向けの印象です。
ベンジャミンバニーも、ピーターの従兄弟として登場しています。
改めてストーリーを見ていると、絵とのギャップ、必ずしもかわいくてほのぼのしているわけではないことに気付きます。
ポターは、ピーターラビットをはじめとする動物たちを゛キャラクター゛とするのではなく、自然の中にいる生き物として表現したかったのかもしれません。
とはいえ、擬人化された彼らはやっぱりかわいいのです。
120年前、というと日本では大正時代にあたります。
新しい文化が花開く一方、第一次世界大戦に関東大震災、と予期せぬ出来事が襲いかかってきた時代でもありました。
イギリスは世界のリーダーとして君臨していた時代です。
ポターは工業化されていく祖国を見ながら、思うところもあったのかもしれません。
執筆活動で得た収益で、湖水地方の農場や土地を購入し、死後はそれをすべてナショナルトラストに寄贈、湖水地方の美しい景観が守られています。
ピーターラビットが生まれるまでいろんなストーリーがあったのね。
ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターとは?
ポターは前述の通り、この頃の富裕な家庭のしきたりによって、家庭教師によって教育を受けたため、学校に通っていません。
それについて本人は、学校に通わなくてよかった、もし通っていたら独自性が失われていただろう、というような発言をしています。
一時期きのこの研究に没頭しましたが、当時は女性の研究者が認められない世界であったため、断念しています。
ピーターラビットを出版した時、アメリカで海賊版が発行されてポターは苦い思いをし、そこから著作権というものについて意識を高めたようです。
ロンドンの高級スーパーハロッズで、粗悪なピーターラビットのぬいぐるみを見つけたポター、自らデザインしてぬいぐるみを作り上げ特許を取ります。
さらに、木製玩具、ジグソーパズル、湯たんぽにルームシューズ、タイルなどいわゆるキャラクターグッズを最初に作ったとされています。
塗り絵も出版し、その時に、ばら売りした方が売れるのでは、と提案しています。
とはいえ、必ずしもお金だけに執着していたわけではありません。
その証拠に、ディズニーからの申し出は断っています。
もしピーターラビットがディズニーキャラクターになっていたらどうだったでしょう。
それもよかったかも、と考えてしまうのは後世のわたしたちであって、ポターとしては受け入れられなかったのでしょう。
私生活としては、実家の母親とは最後まで折り合いが悪く、理解者であった弟は急死します。
39歳の時に親の反対を押し切って(家柄が合わない、という理由で)ウォーン社の編集者と婚約しますが、一月後に彼が病気で急死します。
47歳の時に、ポターを手助けした湖水地方の弁護士と結婚しています。
ポターの墓はなく、遺骨は散骨されました。
その場所は秘密とされ、立ち入ることのできない区域の中のどこかであるようです。
ピーターラビットとポターのおかげで湖水地方は守られたのね
ピーターラビット120周年展覧会はどこでやっている?
ピーターラビット展をやっているのは、東京都世田谷区の砧公園内にある世田谷美術館。
広々としたとても気持ちの良いロケーションにあります。
4月のはじめは桜がきれいに咲いていました。
会期は2022年3月26日から2022年6月19日までです。
土日祝日と5月2日は日時指定券での入場となりますので、ご注意ください。
平日はそのまま入れます。
とても素敵な展覧会ですが、展示物が小さいしカラフルでもないので、近くによらないと良く見えません。
なので、混雑している場合は時間がかかるかもしれません。
(遠くから見てわかるような展示ではありません)
また、あまりお子様向けではない印象です。
ピーターラビット好きには、ピーターのストーリーやポターという人が分かって非常に興味深いです。
2階の展示も見られます。
4月10日までは横尾忠則などの展示でしたが,変わっているはずです。
目的の展示ではないですが、これも出会いですね.
用賀駅から世田谷美術館までの散歩道もなかなかよ。
ピーターラビット120周年展覧会の感想まとめ
- ピーターラビット120周年展は東京都世田谷区の世田谷美術館で開催中。
- 開催期間は2022年3月26日から6月19日まで。
- 土日祝日と5月2日は日時指定券が必要、それ以外は必要なし
- 展示は小さくてモノクロのものが多いので、混雑すると大変かもしれません。
- 内容的には大人が楽しめるもの。
- ピーターラビットが生まれるまでやポターの素顔が知れて大変興味深い展示です。
ぜひピーターラビットに会いに行ってみて。
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