ひとりの男性の頭の中が、現実化する日が近づいてきました。
7月25日、沖縄にオープンするテーマパーク、「ジャングリア」。
それは、沖縄に作られなければならなかったのです。
豊かな自然、独自の文化、中継地として栄えた歴史。
そしてそこは、居住圏内にはない。
数千万、数百万が生活する首都圏、近畿圏ではない。
「わざわざ旅行として訪れなくてはならない場所」なのです。
ジャングリアの目指すものは。
「旅行の本能を刺すこと」。
旅行で人生に爪痕を残したい、それを叶えてくれる場所。
旅行は、大切な人と行くことがほとんどでしょう。
家族、恋人、友人…。
ジャングリアは旅行、を最高の旅行に変えるための
格別なスパイスでありたいのです。
旅行に求めるものは興奮・贅沢・開放感。
普通では体験できないもの、体験できないことをしたい。
そしてそれは人生の記憶に残る体験であってほしい。
ジャングリアは絶景の中で大自然を味わえます。
そもそも、沖縄の森は、樹がまっすぐには生えていない。
そんなところからも日常とは違うことに気づく。
ジャングリアはジャングルではないから、
虫に刺されたりハブにかまれたりすることはない。
そこにあるのは、ラグジュアリーなワクワクする空間。
いつもよりちょっと贅沢なホテル、
そこでしか味わえない料理、
そこでしか買えないもの、
いつもと違うゆったりとした時間の過ごし方。
ひとはなぜ、贅沢をしたいと思うのでしょうか。
贅沢ができるわたし、は生存確率が高い層に
位置している自分、
存在価値のある自分と思いたいから。
そんなわたしに出会える場所である、ジャングリア。
そんな宣伝めいた事並べたって行く気にはならないよ。
もちろん、そうかもしれません。
ただ、このジャングリアを作り上げたのは
日本が誇るマーケター、森岡毅氏。
マーケティングは消費者心理がすべて、と言い切り、
数多くの実績を上げてきた氏に、さてどこまで
対抗できるでしょうか。
少なくとも、P&Gの商品を愛用し、
USJって楽しいよね、と思っていたら、負けかもよ?
森岡氏は1972年生まれ。
神戸大学卒業後、P&Gに就職し、
マーケティングのプロとして様々な実績を上げ、
スカウトされた先がUSJ。
オープンした初年度こそ1000万人の入場があったものの、
翌年からはすっかり落ち込み、
森岡氏が入社した時には700万人前後となっていました。
氏が入社してからは右肩上がり。
大人が仮装して楽しむハロウィンという
文化を作ってしまったのは、彼。
ワンピースにエヴァンゲリオン、進撃の巨人に…
日本のコンテンツって凄い、と知らしめてくれたのも彼。
後ろ向きのジェットコースターに乗りたくて
9時間40分も人を待たせたのも、彼。
売上800億円のUSJに450億円を投じさせて
ハリーポッターの世界を作り上げてしまったのも、彼。
小学生の娘と一緒に過ごせるのは、いつまでだろう。
そんな素敵なCMを作って心を揺さぶらせてくれたのも、彼。
氏が次に手掛けようとしたのは、
沖縄のテーマパーク。
しかし、資本を出すはずだった外資は手を引き、
氏は自らが設立した会社、「刀」でそれを
実現することとなった。
社員は約100人。
もうだめかもしれない、何度もそう思いながら
資金を調達してジャングリアの建設に
辿り着いた。構想は10年にも及んでいました。
資金は700億円。
この金額でテーマパークを作り上げた例なんて、ない。
けれど、あと2か月で開業です。
オープンまでまだまだいろいろなことが起きるでしょう。
オープンしてからもいろいろなトラブルが発生するでしょう。
成功するかどうかなんて、わからない。
天才マーケターとしての名を
欲しいままにしている森岡氏が、なぜこんな挑戦を
するのでしょう。
殺到する依頼を受けていれば、経営も安定して
何も困らないでしょう。
「刀」は
「日本人の食い扶持となる
新しい事業と基幹となるノウハウと
それを支える人材を作る会社」であるといいます。
テーマパークはコンテンツを不老不死にする場所。
ディズニーリゾートがあるから、ミッキーマウスは
ずっとそこに存在し続ける。
USJがあれば、にハリーポッターもホグワーツも
色あせることはない。
日本が作り出した素晴らしいコンテンツを、
不老不死にしようではありませんか。
ドラえもんにアトム、孫悟空にマリオ、
キティーに仮面ライダーにプリキュアに
鬼太郎にガンダムに炭治郎に虎杖に…。
アメリカからやってきた素晴らしいキャラクターが
世界中で生き続けているように、
日本の見事なコンテンツを世界で不老不死に
していこうではありませんか。
ジャングリアの成功の暁には、
そんな未来を描いているのです。
かつての日本人は、できるかどうかなんてこと
考えずに、
自分の時間も能力もすべて注ぎ込んで
自動車を作る人々がいたのです。
自分自分が達で自動車を作ってみたい、
そう思っていたころにアメリカで日本車が
市場を席巻する日が来るなんて、
誰が想像したでしょう。
今自分が存在し、生きていることは
果たして自分だけの力なのでしょうか。
自分の能力は世の中の役に立てるのです。
自分の能力は世の中に発揮することが
使命なのです。
自分以外の誰かの役に立てるのです。
そう決めると、やるべきチャレンジが見えてきます。
やってみなければ、わからない。
成長するとは、新たな価値を生み出すこと。
その価値を取ることに自分がリスクを負う、
一歩踏み出す。
大人は、若い人々がに変化しないことを
強要していないでしょうか。
森岡氏は、まず自分が愚直にチャレンジしていく。
沖縄を成功させて、未来に続く日本の食い扶持を
構築していきたい、と語ります。
挑戦し、一歩一歩階段を上っていく。
見たい未来は、きっとそこに続いているのです。
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